睡眠のメカニズムと快眠生活のコツ
睡眠のメカニズムと快眠生活のコツ
睡眠のメカニズム
最近、眠りに悩みを抱えている人が多くいるそうです。
睡眠には「体の修復」「脳の掃除」「脂肪の燃焼」「記憶」「休息」など様々な働きがあります。
質のよい睡眠で疲れをリセットすれば、翌朝スッキリと気持ちの良い一日を始められます。
今回は睡眠のメカニズムと快眠生活のコツをご紹介します。
寝る・起きるの時間を決める2つの要素
睡眠時間を決める要素は、大きく分けて「体内時計」と「睡眠圧」の2つがあります。
(1) 体内時計
私たちの身体には、概日リズム(サーガディアンリズム)と呼ばれる体内時計が備わっています。
体内時計の周期は、1日のサイクル(24時間)より少し長い24時間15分ほど。この15分のズレは、毎朝太陽の光を浴びることでリセットされます。
体内時計をリセットする機能を担っているのは、脳の真ん中にある視交叉上核(しこうさじょうかく)という部分です。ここは左右の視細胞が交わる場所で、光の刺激を受けて、体内時計の狂いを直してくれます。
(2) 睡眠圧
私たちは起きている間に、「アデノシン」と呼ばれる化学物質が脳内に蓄積されます。
アデノシンが増えると、眠りたいという欲求が高まります。この現象が「睡眠圧」です。
脳内に蓄積された睡眠圧(アデノシンの量)は、大人の場合、8時間ほどぐっすり眠れば一掃されますが、残っていると睡眠負債の原因となります。
この睡眠圧と概日リズムが、睡眠と覚醒に関わっています。
ところで、皆さんは徹夜の経験はありますか?
もしあるなら、眠くてたまらない時間と、なぜか頭が冴えわたる時間の両方を経験したことがあるのではないでしょうか。
徹夜をすると脳内のアデノシンが増え続けますが、概日リズムは睡眠に関係なく24時間のリズムで動いているため、時間によって睡眠圧が強くなった弱くなったりするのです。
カフェインに要注意
アデノシンから出る睡眠信号をブロックし、眠気を覚ますことができる物質が、コーヒーなどに含まれる「カフェイン」です。
カフェインのピークは摂取後30分ですが、半減期はおよそ5~7時間後。
そのため、午後の遅い時間にカフェインをとると、夜の睡眠に影響を受けることになりますので、コーヒーを飲むのは、午前中か午後の早い時間にしましょう。
また、「カフェイン・クラッシュ」と呼ばれる副作用にも注意が必要です。
カフェインによって眠気物質(アデノシン)はブロックされますが、その間も増え続け、カフェインの効果が切れると今まで蓄積された睡眠圧が一気に襲ってきます。
睡眠不足によるデメリット
○ 食欲が増す
睡眠が足りないと空腹を感じるホルモン(グレリン)が分泌され、逆に満腹を感じるホルモン(レプチン)が少なくなります。
その結果、十分に食べても食欲が消えず、際限なく食べたくなってしまいます。
○ ジャンクフードが食べたくなる
睡眠不足になると脳が原始的になり、甘いものや炭水化物、しょっぱいスナック菓子など高カロリーの食事を好む傾向があること分かっています。
○ ストレスホルモンの増加
睡眠不足により交感神経が興奮すると、コルチゾールと呼ばれるストレスホルモンが分泌され、血圧が上昇します。またコルチゾールには、腸内の悪玉菌を増やすという働きもあり、腸内環境の悪化にもつながります。
快眠生活のコツ
1.朝は光を浴びて、夜は光を避ける
毎朝、太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされてリズムが整います。
朝の光は、太陽を見つめる必要はありません。午前中のうちに30分を目安に自然光を浴びるようにしましょう。
通勤時に歩く距離を伸ばしてみたり、犬の散歩をしたり、洗濯物を干したり、明るい窓際で家事をしたりと、自分に合った方法を見つけてみてください。
一方で、夜の光には要注意です。
明るい光には目を覚ます作用があるので、就寝前の部屋の照明が明るすぎたりすると、なかなか眠れなくなって睡眠のリズムが後ろにズレてしまうことがあります。
特に青白い光は、白熱電球のような暖色系の光に比べると覚醒作用が強いことがわかっています。スマホやパソコン、テレビ、ゲーム機などの発するブルーライトも強い光です。床に就いてからメールやゲームなどに没頭すると、長時間光の刺激を受けることになり、覚醒を助長しかねません。
2.熱すぎないお湯にゆっくり浸かる
入浴は、睡眠の90分以上前に、38~40度程度のお湯に20~30分つかるのがおすすめです。
一般的に、体温が下がると寝つきが良くなります。入浴により一時的に体温が上がると、血管が拡張して放熱が促され、90分後にはお風呂に入る前よりも体温が下がり、寝つきがよくなります。
ただし、お湯の温度が熱すぎると逆に寝つきを悪くするので要注意です。
入浴してすぐに眠る場合は、シャワーで済ませるか、長湯をしないようにしましょう。
3.適度な運動を
体温にも一日の変動リズムがあり、朝晩は低く、夕方に高くなります。夜に体温が下がってくると私たちは眠くなるのですが、昼夜の体温差が大きいほど、寝つきもよくなります。
日中に行う適度は運動は体温を上げ、夜の体温との差を広げるため、結果として睡眠の質が上がります。一定のリズムを刻むウォーキングなどの有酸素運動を1日30分以上行うのがおすすめです。
質のよい睡眠をとるための食事法
○ 規則正しく食事をとる
胃などの消化管にも体内時計があるので、食事も睡眠に影響を与えています。朝・昼・夜と決まった時間に食事を取るようにしましょう。
○ 夜の食事は軽めに
寝る前に胃に食べ物が残っていると、質のよい睡眠が取りにくくなりますので、寝る3時間前くらいまでには食事を済ませておきましょう。でも、なかなか難しい…という方は、消化のよいものを食べるようにしましょう。できれば冷たいものより温かいものを。
○ 睡眠を促す食べもの
睡眠ホルモンのメラトニンは、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンからつくられます。その原料となるトリプトファンを多く含む食べ物(大豆、緑黄色野菜、ごま、バナナ、はちみつ など)を取るようにしましょう。
元気に活動することはもちろん大事ですが、それと同じくらい意識してカラダを休めることも重要です。
睡眠を見直して、健康的な生活をはじめてみませんか?
【参考】書籍「睡眠こそ最強の解決策である」マシュー・ウォーカー(著)
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